この2つ単語は意味は違うし類義語でもないのに、なぜか僕ら日本人はごっちゃにしてしまいがちなんだ。
ちなみに、辞書を引くと次のような対訳が載ってることが多いよね。
popular: 人気の
common: 共通の、一般の
一見すると、ぜんぜん違う意味だから、間違えようがない気がするけど、やっぱりゴッチャにしてしまうんだ。
今日は、この2つの単語が、なぜよく間違われるのか?
そして、意味とニュアンスの違いと、使いどころについて、それぞれどんなシーンで使われているか参考にしながら説明していくよ。
なぜゴッチャになるの?その1
最近は日本でも「ポピュラー」って言葉をよく耳にするけど、これはいわゆるカタカナ英語(和製英語)ってやつで、「一般的な」とか「ありふれている」って意味でよく使われているよね。例えばgoo辞書で「ポピュラー」をひくと次のように載ってるんだ。
ありふれていること。また、そのさま。「犬では―な病気」
でも、これはもう確信犯としか思えないんだ。
だって、「ポピュラーな病気」をそのまま英語にすると、“popular disease”となって、つまり「人気の病気」って意味になっちゃうからね。
このgoo辞書の説明を見たら誰だって、
「“popular”って病気に対しても使うんだ!?だったら一般的ってニュアンスを表したい場合はとにかく“popular”をつければいいんだな?」
って思っちゃうでしょ。
でも、この場合はcommonを使って、“common disease”ていうのが正しいんだ。
なぜゴッチャになるの?その2
“popular”って単語を辞書でひくと「人気の」って訳が最初にでてくるけど、実はそのまま「人気の」って訳がピッタリなケースは少ないんだ。もう一方の“common”も、「一般の」って訳すケースは多くないんだよ。
例えば、このページに載せている例文の“popular”と“common”の訳をまとめると次のようになるんだ。
popular:
適している、有名な、主流、広く使われる
common:
よく見られる、主に、よくある、一般的な
どお?ゴッチャになってきたでしょ?
さらに、“common”は、「共通の」ってイメージの方が強いし、前述(その1)のことも相まって、例えば次のようなロジックで間違っちゃうわけだ。
「日本では残業はごく一般的なことです」って英語で言いたい!
↓
それって、みんながあたりまえの様にやってることだな
↓
そういえば「ポピュラー」ってだいたいそんな文脈で見かけるよな!
↓
Working overtime is very popular in Japan!
でも、これだと、「日本では残業が大人気です」ってなってしまっておかしな文章になってしまうよね。
いや、逆に、自虐的な洒落としては結構イケてるかもしれんけど、とにかく、意図と異なってるのは確かだよね。
popular
さあ、ようやく例文を使ったpopularについての説明をに入ることにするね。次の例文は、すごくわかりやすい「人気の」って訳がピッタリな例文だよ。
Johnny Depp is one of the most popular actors in Hollywood right now.
ジョニー・デップは、今では、ハリウッドで最も人気な俳優の一人です。
この例文みたいに、「人気の」って訳がピッタリなケースは実は、そんなに多くはなくて、それが、僕ら日本人を惑わす原因のひとつになってるんだ。
だから、人気の = popularって覚えるんじゃなくて、「多くの人が好む」って覚えたほうが理解しやすいと思うよ。
次の例文は、ITに関する文章だけど、あるOSが特定の用途に適しているという内容だよ。
CoreOS, the highly popular container-centric Linux distribution for massive-scale deployments.
CoreOSはコンテナを前面に打ち出したLinuxディストリビューションで、アプリケーションの大規模な展開に適している。
次の例文は、音楽の演奏とホールのつくりとの関係についての文章だよ。
This is Carnegie Hall. Obviously, this kind of thing became popular.
これはカーネギーホールです。ご存知のようにこの手のホールが主流になりました。
この例文では、それぞれの時代の人々の嗜好によってホールのつくりが変わっていったと言いたいからpopularを使ってるんだけど、訳としては確かに主流がしっくりくるね。
次の例文は、Twitterの創設者のスピーチからだよ。
The President himself is our most popular Twitter user, although his tweets have dropped off as of late, while Senator McCain's have picked up.
大統領自身が、僕達の最も有名なTwitterユーザーでありますが、 最近、彼の更新頻度が落ちてしまった反面、 一方で、マケイン議員の更新頻度は高くなっているようです。
ここでは、popularを有名なって訳してるけど、有名を意味する英語といえば、famousを思い浮かべるよね。
実際、famousでも悪くないけど、大統領に親しみと敬意をこめて、ここではpopularを使ってる感じだな。
popularとfamousの違いについても、こっちにまとめてるから読んでみてね。
次の例文は、Twitterの返信機能(@つける)は、Twitter側が考えたものではないという内容の文脈だよ。
we didn't build it into the system until it already became popular and then we made it easier.
この機能が広く使われるようになった後で、より簡単に使えるようにシステムを改良しただけです。
この例文では、popularを「広く使われる」と訳してるけど、これも「多くの人が好んで使う」というニュアンスで理解できるよね。
common
次はcommonについての説明いくよ。commonは「一般の」って訳で覚えるんじゃなくて、「よく起こること」って理解しておくと、使いやすいと思うよ。
もちろん、そこには好きっていうニュアンスはなくて、「好き嫌いにかかわらずよく起きるってこと」っていうニュアンスだよ。
次の例文は、無神論者のための宗教についてのスピーチの一部だ。
One of the most common ways of dividing the world is into those who believe and those who don't -- into the religious and the atheists.
世界を分ける最も一般的な方法の1つは、神を信じる人と信じない人、 信仰を持つ人と無神論者という分け方でしょう。
ここでは、commonを一般的と訳してるけど、これはスッと理解できるよね。
あと、“One of the most common”って言いまわしをしてるけど、これは、「他にも世界を分ける方法はいくつもあるけど」っていう意味で、とってもよく使われるから、一緒に覚えておくと役に立つよ。
次の例文は、薬の開発に関するスピーチからの一文だよ。
If you had to choose, which would you rather have: the common disease or the rare disease?
選択しなければならないとしたら、どちらを選びますか? よくある病気か、まれな病気か?
commonを「よくある」って訳してるけど、その他にも「よくある ~」って言いたいとき、例えば「よくある事故」、「よくある怪我」なんて言いたいときは、決まって“common ~”って言うんだよ。
次は、病院は患者のことを考えているのかと言う文脈の例文だよ。
There were two things that surprised me during the month I spent. The first one was that the common theme of the discussions we had were hospital budgets and cost-cutting
そこで過ごした1か月間、2つのことに驚きました。1つめは、主に私たちの話題にのぼるのが 病院の予算、そして、経費削減だということでした。
この例文では、commonを「主な」と訳してるけど、意味はやっぱり「よく起こる、頻繁におこる」と言う意味だね。
次の例文は、格差と社会問題の相関性についての一文だよ。
We collected data on problems with social gradients, the kind of problems that are more common at the bottom of the social ladder.
社会的境遇に関する問題のデータを集めました。序列的構造の底辺で、よく見られる類の問題です。
ここでは、commonを「よく見られる」って訳してるね。これも、ニュアンスは同様に「よく起こる、頻繁におこる」ってことだよ。
ここまで読んだら、common と popular がこんがらがる事はもうない...かな?
サ~ンキュ~!